皮膚科ブログ 2016.9.30
先日、マルホ株式会社はDermira社(米ダーミラ社)と
多汗症治療薬 DRM04(抗コリン外用製剤)の開発および販売の独占的ライセンス供与について、
契約締結したとのニュースが上がっておりました。
マルホは本契約により、日本で本剤を開発・販売する独占的実施権を取得し、製造販売承認取得を目指します。
DRM04は抗コリン外用製剤で、
汗腺からの発汗に関与するアセチルコリンのコリン作動性受容体への結合を阻害することで汗の産生を抑制、
現在米国で原発性腋窩多汗症を対象とした第Ⅲ相臨床試験を実施している。とのことです。
原発性多汗症は、頭部・顔面、手のひら、足の裏、腋という限られた部位から両側性に過剰な発汗をおこす疾患で、
日本における有病率は5.75%、平均発症年齢は19.5歳と報告されています。
現在の多汗症についての主な治療としては、
塩化アルミニウム溶液、ボツリヌス毒素局所注射、抗コリン作用のある内服薬や漢方薬などでしょうか。
その中でも、今年はボツリヌス毒素局所注射については、
4月の改正にて「重度原発性腋窩多汗症」の注射実施料が新設されました。
【注射実施料】
G017_腋窩多汗症注射(片側につき)【200点】
(同一側の2箇所以上に注射を行った場合においても、1回のみの算定とする)
※ボトックスの薬価は下がりました。
※保険適用で使用できるのはグラクソスミスクライン社のボトックスになります。
2012年11月より保険適応となっていましたが、
「皮内・皮下及び筋肉内注射(一回につき)【18点】」にて算定と低い点数でした。
ボトックスの薬剤の価格は高く、治療も自費で実施している医療機関が多い印象です。
多汗症は病気として十分に認知されていない現状があります。
病名の判定基準(症状や部位)があることや、病気自体としての認知度が低いため、
患者さんの中では、デオドランド剤や汗パットなど、一般の方を対象とした商品を使用している現状もあります。
今後、治療の幅や選択肢が広がり、
より医療機関での治療環境が整うことが、
患者さんにとっても、医療機関にとっても良いですね。